Acrobat Distiller を使わずに PDF を作るには, Ghostscript を使用する方法が一般的です.以下のように設定しておくのが便利そうです.
PDF を作成するための準備として,RedMon をインストールします. これは,プリンタドライバの出力を任意のプログラムにリダイレクトするためのものです.
PDF 作成エンジンとして ghostscript をインストールします. このとき,lib/cidfmap ファイルの最後に,以下の記述を追加します.
/Ryumin-Light << /FileType /TrueType /Path (msmincho.ttc) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 4] >> ; /GothicBBB-Medium << /FileType /TrueType /Path (msgothic.ttc) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 4] >> ;
また,Ryumin-Light および GothicBBB-Medium のエイリアス設定が ある場合はコメントアウトしておきます.
%/GothicBBB-Medium /MS-Gothic ; %/Ryumin-Light /MS-Mincho ;
また,以下の内容のファイルを作って lib/neverembed.ps として保存します.
%! % neverembed.ps % <</NeverEmbed [/Courier /Courier-Bold /Courier-Oblique /Courier-BoldOblique /Helvetica /Helvetica-Bold /Helvetica-Oblique /Helvetica-BoldOblique /Times-Roman /Times-Bold /Times-Italic /Times-BoldItalic /Symbol /ZapfDingbats /Ryumin-Light /GothicBBB-Medium /HeiseiMin-W3 /HeiseiKakuGo-W5 /KochiMin-Dum /KochiGo-Dum /MS-Mincho /MS-Gothic]>> setdistillerparams
プリンタドライバ経由で EPS を作成するために,Adobe の PS プリンタドライバを インストールします. このとき,プリンタの PPD ファイルが必要となりますが, 日本語フォントとしてモリサワのリュウミンL-KL,中ゴシックBBB を 搭載したカラープリンタの PPD ファイルを使用するのが 都合がよいようです(私は Acrobat Distiller の PPD ファイルを使っています). 逆に,日本語の入ってほしくない PDF ファイルを作りたい場合は, 日本語フォントを持っていないプリンタの PPD ファイルを使用した方が よいかもしれません. なお,接続先ポートは,RedMon によるポート ("Redirected Port") を 新規に作成します.
なお,Vista 以降では Adobe PS プリンタドライバはインストールできないので,代わりに適当な PS プリンタのドライバをインストールして使います.
プリンタのプロパティから,PostScript オプションで 出力データの形式を「アーカイブ形式」もしくは 「エラーが軽減するよう最適化」に設定します.
作成した RedMon のポート ("RPT1:" など)の設定をして, PS プリンタドライバの出力が ghostscript に引き渡されるようにします. 具体的には,
Redirect this port to the program: gswin32c.exe Arguments for this program are: -sDEVICE=pdfwrite -r600 -dNOPAUSE -dSAFER -sPAPERSIZE=a4 -sOutputFile="%1" -c .setpdfwrite -f neverembed.ps -f - Output: Prompt for filename Run: Hidden
などと設定するのがよいようです("Prompt for filename" を設定した場合,Vista だと対話型サービス検出サービスを介してメッセージが通知されるのですが,この通知がうまくいかなくなることが私の環境では多々あります.
その場合は,Print spooler サービスを再起動すると復旧するようですRedMon 1.9 の登場で問題なくなりました).
また,"Run as User" にもチェックを入れておいた方がセキュリティ的に良さそうです.
以上のようにすれば,アプリケーションから上記プリンタに印刷することによって PDF が作成できるようになります.
<参考>
海外の学会のための論文作成の際に,知らずに日本語フォントを使った
PDF を作ってしまうことがあります.
特に図表の類いで思わず日本語の記号類などを使ってしまうことが
多いようです.
日本語版 Acrobat Reader を使っていなくとも,
Acrobat Reader 用 CJK フォントがインストールしてあれば読むことが
できますが,そういう人は少数と思われます.
また,学会側での PDF の加工の都合で日本語入りのファイルが拒否されることもあります.
以下のような対策が考えられます.
元の文書内で,日本語フォントを使用している部分を探して修正する, というのが正攻法ですが,意外にこれは厄介です. そもそも日本語フォントが使われていることに気づかないことも あるでしょう. Word から Acrobat Distiller プリンタを使って PDF を作る場合,
などの落とし穴があるようです. この手のトラブルは,英語版の Distiller の PPD ファイルを使って英語版の Distiller プリンタを用意するとある程度回避できるようです. 具体的には,AdobePS プリンタドライバから,ポートが PDF Port になるようにインストールします.
なお,正しく PDF ファイルができているかどうかは, UNIX マシンなどで英語版の Acrobat Reader を用意して正しく見られるかを チェックするのも有効で確実な手ですが,Acrobat Reader の「フォント情報」で どのようなフォントが使われているか調べることもできます.
Acrobat Distiller のプリンタ設定で, 日本語フォントの送信方式を Native TrueType(もしくは Type42)に設定することで,日本語フォントが PDF に埋め込まれます.Windows 環境の場合,通常 MS 明朝/MS ゴシックがそれぞれ 中ゴシック BBB/リュウミンL-KL に置き換えられる設定になっているので, それらの設定を変更することになります. これにより日本語フォントが無い環境でも(恐らく)読める PDF を作成できます.
<参考>
最近のノート PC などはパラレルポートがないことも多いですが, Acrobat 5 の PDFWriter は,LPT1 ポートが存在しないと デフォルトのままでは使用できないようです.
この場合は,PDFWriter の接続先を適当なポートに 変更してあげれば OK です. 例えば,LPT1 ポートは存在しなくても COM ポートは通常存在しているので (ノート PC でもモデムは大概ついているでしょう), 接続先を COM3 などにしてしまう手があります. なお,FILE: だとどうもうまく動かないようです. もっとも,通常は Distiller プリンタを使い, PDFWriter は緊急避難的に使うものだと考えておいた方が よいでしょう.